近年、アメリカのテック業界では新しい職種として「Go-To-Market Engineer(GTMエンジニア)」が急速に注目を集めています。
この言葉を最初に生み出したのは、AIとデータを活用した成長支援ツール Clay。
2023年に登場して以来、世界中のテック企業がこの考え方を取り入れ、今年の春にはLinkedIn上で400件以上のGTMエンジニア職が募集される までに広がっています。
「GTM(Go-To-Market)」とは、製品やサービスを市場に届け、顧客に価値を提供するためのあらゆる活動を指します。
つまり、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス(CS)など、“収益を生み出す現場”のすべて がGTMの領域です。
そして「GTMエンジニア(GTME)」とは、その 市場戦略(GTM)をエンジニアリング=設計・自動化・最適化 する人を意味します。
簡単に言えば、「売上を生み出すシステムを設計するエンジニア」です。
GTMエンジニアは、マーケティング・営業・CSチームが最大限の成果を上げられるよう、
ツール・データ・AIを組み合わせて“再現性のある成長の仕組み”を作る人 です。
営業活動の自動化や営業プロセスの最適化
ターゲットリストやパーソナライズされたメッセージの生成
CRMデータの整理・クレンジング
顧客シグナル(購買意欲や離脱兆候など)の検知
AIを使った営業・CS向け「社内コパイロット」設計
オムニチャネル(メール・SNS・広告など)での一貫した顧客体験設計
これらは一見するとSales OpsやRevOps(Revenue Operations)と似ていますが、GTMエンジニアの違いは、
単なる効率化ではなく「収益の最大化」に焦点を置く点 にあります。
業務を自動化するだけでなく、データとAIを活用して“売上を伸ばすための新しい仕組み”を構築するのです。
背景には、3つの大きな変化があります。
AIとLLM(大規模言語モデル)の進化
ChatGPTやClaudeなどのAIツールが、営業・マーケティングの現場にも活用できるようになった。
GTMツールの多様化
CRM、MA、SFA、CMS、広告、シグナル分析、ツール連携(iPaaS)など、収益を生み出すツールが急増。
データドリブンな意思決定の重要性
企業はデータを活かして顧客理解を深め、最適なアプローチを設計する必要に迫られている。
この結果、「これらのツールやデータを横断的に設計・運用できる人材」──
すなわち GTMエンジニア の存在価値が急速に高まったのです。
1人のGTMエンジニアが組織に与えるインパクトは、100人分の営業生産性を高めることもあるとさえ言われています。
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カテゴリ |
代表ツール |
主な目的 |
|---|---|---|
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CRM / SFA |
HubSpot, Salesforce |
顧客・案件管理、パイプライン分析 |
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オートメーション |
Zapier, Make, Clay, n8n |
プロセス自動化、ツール連携 |
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AIツール |
ChatGPT, Claude, Gemini |
コンテンツ生成、顧客分析、意思決定支援 |
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データ活用 |
Clay, uSonar, Snowflake |
顧客データの統合・拡張 |
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CMS / MA / メッセージング |
Wordpress, Marketo, LinkedIn Sales Navigator |
顧客接点の最適化・リード育成 |
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CS / サポート |
Zendesk, Intercom |
顧客対応の効率化とナレッジ化 |
💡 これらのツールは API連携が可能であること が理想です。
GTMエンジニアは、複数ツールをつなぎ合わせて“動く仕組み”を作るのが得意です。
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スキル領域 |
説明 |
|---|---|
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好奇心と実験思考 |
新しいツールを試し、実際に手を動かして学ぶ |
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ビジネス理解 |
収益構造・顧客心理・営業プロセスを理解する |
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技術リテラシー |
API連携やSQLなど、軽い技術的実装ができる |
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データドリブン |
定量的に成果を測定し、改善サイクルを回せる |
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システム思考 |
部門を超えてワークフロー全体を俯瞰できる |
GTMエンジニアは、「技術にも強いマーケター」であり「ビジネスを理解したエンジニア」でもあります。
アメリカではClayや多くの企業がGTMエンジニアを採用し、
“収益を設計するエンジニアリング文化” を築きつつあります。
日本でも今後、営業DXや生成AIの活用が進む中で、GTMエンジニアという職種が確実に必要とされるでしょう。
もしGTMエンジニアという新しい働き方に興味を持ったら、ぜひClayの公式ブログを覗いてみてください。